• スマート公式facebook
  • スマート公式X
  • スマート公式Instagram
  • スマート公式Pinterest
  • スマート公式Youtube
  • スマート公式LINE

smart 最新号

smart2026年3月・4月合併号(通常号)

smart2026年3月・4月合併号(通常号)

2026年1月23日(金)発売
特別価格¥1,890(税込)

smart 最新号を見る

閉じる

連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

「生まれ変わっても、星野監督と野球がしたい」愛弟子・中村武志が語る、世間が抱く“闘将”星野仙一への誤解

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

この記事の画像一覧を見る(4枚)

 現役時代には「燃える男」と称され、監督時代には「闘将」と呼ばれた星野仙一が天に召されてすでに8年が経過した。昭和、平成を代表する野球人である一方、優しさと厳しさ、飴と鞭を巧みに使い分けた人心掌握術は、現在の観点から見れば、行きすぎた「根性野球」「精神野球」といった側面がクローズアップされたり、選手たちへの鉄拳制裁が問題視されたりすることもある。

 一体、星野仙一とはどんな人物だったのか? 彼が球界に遺したものとは何だったのか? 彼の実像を探るべく、生前の彼をよく知る者たちを訪ね歩くことにした。彼らの口から語られる「星野像」は、パブリックイメージ通りである一方で、それとは異なる意外な一面もあった。「星野仙一」のリアルに迫りたい——。連載第5回は、星野の愛弟子であり、中日での監督時代の正捕手であった中村武志に話を聞いた。【中村武志インタビュー全2回の1回目/第2回へ続く】

銀座の高級ステーキ、帝国ホテルのスイート、そして愛の故意死球…「星野仙一にいちばん叩かれた男」中村武志が受けた“規格外の教育”

星野の愛弟子であり、中日での監督時代の正捕手であった中村武志

「生まれ変わっても、一緒に野球をしたい親よりも大切な人」

 2025(令和7)年11月、中村武志は『私の「プロ野球都市伝説」』(論創社)という本を上梓した。副題には「愛する星野監督と野球人たち100話」とある。中村と言えば、自他ともに認める星野仙一の愛弟子である。

「本を出すことを決めたのは、“自分のことを伝えたい”というよりは、世間では星野さんのことを勘違いしている人がすごく多いから、“もっと本当のことを知ってほしい”という思いが強かったからです。僕は、“生まれ変わっても星野さんと一緒に野球がしたい”と思っていますから」

 中村は今、「勘違い」と言った。その意味を理解した上で、あえて「世間の人々は星野さんに対して、何を勘違いしているのでしょうか?」と問う。その答えは明確で、こちらが予想した通りのものだった。

「今の価値観から見て、“星野監督の指導はやりすぎじゃないのか?”という意見が多いということです。でも、僕自身は決してそう思っていない。僕はキャッチャーだったので、間違いなくいちばん叩かれました。でも、それが僕の自慢です。“たくさんの選手がいる中で、オレがいちばん星野さんに叩かれたんだ”って」

 監督時代に「闘将」と呼ばれた星野の代名詞でもあるパワハラ的な「熱血指導」「鉄拳制裁」は、現在の価値観から鑑みると「行き過ぎではないのか?」という批判がある。それに対して、中村は「世間の人は勘違いしている」と言い切った。

「今の時代は、叩くことはNGで一発アウトだということは理解しています。でも、あの時代においていちばん叩かれた僕が、“生まれ変わっても、星野監督と一緒に野球がやりたい”と心から思っているのも事実なんです。その思いだけはきちんと伝えたかったから」

 中村は決して「殴られた」とは言わず、「叩かれた」と口にする。彼の自著でも同様で、一連の星野の言動に対して、カギカッコつきの「指導」と表記している。そして中村は、こんなことも口にした。

「もしも、“僕の両親と星野さんと、どちらが大切か?”と聞かれたら、僕は“もちろん、星野さんです”と答えます。僕と監督との関係を知っているから、両親もきっと理解してくれると思います」

 心の底から星野を敬愛していることがよく伝わってくるやり取りが続く。「両親よりも大切な人」と語る星野仙一と中村の、生涯にわたる交流を振り返りたい。

この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

X:@HasegawSh

執筆記事一覧

この記事をシェアする

この記事のタグ

31

09:00

smart Web の
記事をシェア!

この記事をシェアする

関連記事

smart(スマート)スマート公式SNS