連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」
へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」 一足目:ナイキ ACG「ナイキ ACG エア マーダ」@アトモス 新宿店
ストリートを中心としたファッション業界で幅広い人脈を擁する「伊藤商店」のITOさん。“へそまがりスニーカー愛好家”を自認し、他の人とは違ったニッチな目線でスニーカーを楽しむ彼に、いま気になる新作モデルを紹介してもらう不定期連載。自由な視点で探す自分だけの“逸足”、そして見つけた瞬間に爆発する物欲。まさに一触即発な⁉スニーカーショップでのスニーカー探訪の模様をレポートしていきます。周りと被らず、かつ個性も発揮できちゃう。そんな一足を教えます!
「トレーニング時に履きたいナイキのスニーカー」“エアマックス インフィニティ”は軽さと丈夫さが最高!
この“イナタさ”が Z世代の目には
新鮮に映るんじゃないっスかね?
TOMMY:ということで始まったこの連載。記念すべき第1回目は、ITOさんにとっての古巣とも言える「アトモス」の旗艦店である新宿店にやってきました!
ITO:まだ「アトモス」ではなく「チャプター」だった時代に働いていました。こうして店舗に訪れるのも久しぶりなので、あらかじめコジさん(「アトモス」ディレクターの小島奉文さん)には「僕、お邪魔しちゃって大丈夫ですか?」って聞いたんですが……。
TOMMY:まさか NGくらったりしてないですよね?(ドキドキ)。
ITO:それが……「全然大丈夫でしょ。好きにやっちゃってイイよ」って結構軽いノリでした(ニッコリ)。
TOMMY:思わせぶり! じゃあ安心ですね(笑)。この連載では“ヘソ曲りスニーカー愛好家”であるITOさん目線で、今気になる“逸足”を紹介してもらいます。
ITO:今って、結局売れているスニーカーってメディアでのイメージコントロールがされちゃっているんですよね。推されているモノとそうでないモノの格差がすごく広がっているし、そもそも年間のリリース数が多すぎて、すごく良いモノでも埋もれてしまいがち。なので、若い子に限らず“見つけること”自体が難しい時代になっているのは、とても残念だなって以前から感じていました。
TOMMY:そこで、へそまがりスニーカー審美眼を持つ ITOさんに、隠れた名作をディグしてもらうというワケです。じゃあ、早速行ってみましょう!
TOMMY:(店内を見渡しつつ)さて、何か気になるモデルとかありますか?
ITO:コレとか気になりますね! リアルツリーカモとオレンジのカラーリングもバッチリですし、個人的にもニューバラ(ニューバランス)は推しなので。
TOMMY:〈ニューバランス〉×「アトモス」の「MS327ART」ですね。たしかに色・柄だけでなくベースモデルに「MS327」を選ぶあたりも、トレンドをしっかり押さえていますね。それにしますか?
ITO:う〜ん、そうっすねぇ……おっ、コレはイイじゃないすか! 今回はこっちにしましょう!
“逸足触発”な一足目は
「ナイキ ACG エア マーダ」
TOMMY:ということで、今回ピックしたのが「ナイキ ACG エア マーダ」! 〈ナイキ スポーツウェア〉のアウトドアラインである“ナイキACG”初期の名作トレイルシューズの復刻モデルですね。ちなみにプライスは¥17,050。
ITO:さっき話した“良いモノが埋もれてしまう”という話ですが、これなんかまさにでしょうね。僕的には待望の初復刻なのに、全然メディアには推されないっていう(苦笑)。90年代後半、今のようにアウトドアをファッションに取り入れるのが流行った時代があって、その当時から僕自身も好きなモデルで本当に名作なんですけどね。
TOMMY:ITOさんが運営する古着のオンラインセレクトショップ「伊藤商店」でも、同じく名作として知られる「エア チャッカモック」を扱っていましたね。やっぱり当時のモノはもう履けない状態のモノが多いんですか?
ITO:他モデルと同様、ウレタン系のミッドソールは確実に加水分解していますし、ラバーでもソールが剥離してしまうケースが多いっすね。なので今回の復刻はすごく嬉しいんですが、多分……いや間違いなく喜んでいるのはアラフォー以上のオッサンだけ(笑)。
TOMMY:こういったレビュー記事って、普通はそのアイテムの特徴をガッツリ語って、いかに良いモノなのかプレゼンするのがお決まりですが、この連載では、それをいたしません。あくまでITOさん目線でのオススメポイントを知りたいなと。
ITO:もう“今の気分”としか言いようがないんですよね。まぁ、アウトドアやギアがファッション的なトレンドになっているというのが一つ。もう一つは個人的な見解ですが、最近のスニーカーって格好良すぎません? 見た目もスマートな上に、機能性にも優れていたりして。
TOMMY:以前、smart本誌で小島さんを取材した際にも「最近は、履き心地や機能性など、コンフォータブルで当たり前」とおっしゃっていました。
ITO:あ〜、それで言うと僕は逆っすね。むしろダサかったり履き心地が悪いモデルのほうがほっとけないというか。なんせ“へそ曲がり”ですから(笑)。また〈サロモン〉や〈ホカ(オネオネ)〉のような最新技術が投入されたアウトドアシューズが人気を博している今、真逆な存在である「エア マーダ」をこのタイミングで復刻するという攻めの姿勢もイケてますし。
TOMMY:実際に履いてみた感想はいかがでしたか?
ITO:当時のオリジナルって、アッパーもソールももっと固かったような。履き始めは絶対に靴擦れするし、何よりも「罰ゲームかな?」ってくらい重かったなぁって。その点、すごく軽いし、履き心地も改良されているのは有り難い反面、若干の寂しさも感じつつ(笑)。まぁ、普通に履けるという意味ではもちろん歓迎ですけどね。ベージュ×グリーン×パープルの配色も最高ですし。
TOMMY:最近では若い世代たちも、90年代〜00年代のこういったノリのスニーカーを履いているのをよくSNS上で見かけますね。
ITO:この“イナタさ”が Z世代には新鮮なんでしょうね。今は正直ピンときてない人も、買って寝かせておいて、来年くらいに履くと「それ何?」って聞かれたりすると思いますよ。ぜひ、この良さをsmart読者の若い世代にも知ってもらいたいっすね。
(了)
今回お邪魔したのは……
「アトモス 新宿店」
「アトモス 新宿店」
(住所)東京都新宿区新宿4-1-1 新宿サウスアヴェニュー 1F
(電話番号)03-6457-8755
(営業時間)11:00〜21:00
(定休日)無休
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Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
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撮影・聞き手・文・構成/TOMMY
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