「昼休みに会社を作りました」メキシコ、スイスを経てベトナムへ…建築家・大澤晃佑が語る“変化する社会”と向き合う生き方

執筆者: エディター・ライター/相馬香織

建築家・大澤晃佑

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多くの国で不況が続く中でも、経済成長を続けているベトナム。活気あふれるベトナムにはさまざまなシーンで活躍している日本人も多くいます。ここでは、そんな日本人にフォーカスし、インタビューを敢行。今回はメキシコ、スイスを経てベトナムで建築家として活躍する大澤晃佑さんに、海外を目指したきっかけやベトナムでのお仕事についてお話を伺いました。

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「海外でもやってみたい!」その思いが今に繋がっている

建築家・大澤晃佑が手がける「Fu Hoo Cafe」

大澤さんが手がけている「Fu Hoo Cafe」

――大澤さんが建築家を目指したきっかけはなんですか?

大澤晃佑(以下、大澤):子どもの頃から大工になりたいと思っていたのですが、大学に入る前に友人たちとパーティーなどをオーガナイズしたりして遊んでいた時期があって、当時の友人の家が今で言う「デザイナーズマンション」でした。当時はまだそんな言葉もない時代でしたが、その友人の家をきっかけに「デザイン」や「建築」というものを知り、興味を持つようになりました。

昔から何かを作ることも好きでしたし、自分でDIYをしながら家を改造したりもしていたのです。また、当時は環境問題がとり沙汰されるようになった頃で、屋上や壁面の緑化が流行り始めていて、とても面白そうだなと思い、多摩美術大学の造形表現学部(デザイン学科、 スペースデザインコース)に入学したのが始まりです。

――大学卒業後すぐにメキシコで働かれたのはなぜですか?

大澤:日本で就職先の内定をいただいたのですが、就職前に他の国に行ってみたいなとも思っていました。日本で、フェルナンド・ロメロという建築家の作品を見て「この人の事務所は面白そうだな」と思っていたので、試しにポートフォリオを送ってみたところ「来ていいよ」と連絡をいただきました。「よし、じゃあメキシコ旅行のついでに、1、2週間くらいインターンできればいいか」と思い、メキシコに向かったのです。

そしてそのまま受けて入れてもらったのですが、インターンで無給のためお金がない生活で。そのため、日本政府の支援プログラムを見つけて、その制度を利用して1年ほど働いたのち、事務所と正式に契約をして3年ほど働きました。ボスはいい意味でも悪い意味でもとてもキャラの強い人(笑)。さまざまなことを学ばせてもらいました。僕にとってはメキシコでの経験が最初のキャリアでもあるので、レイアウトの仕方や空間や光の作り方はここで学んだものがベースになっています。

建築家・大澤晃佑が手がける「Fu Hoo Cafe」

手がけている「Fu Hoo Cafe」にはアート作品が飾られているスペースも

――メキシコの後は日本に帰らずにスイスに向かったそうですね。

大澤:事務所で働いたあとに、メキシコで独立して会社を設立しました。すると思いの外、結構仕事が入ってきて、それで調子に乗ってしまったんでしょうね(笑)。若手で、しかも異国の地で仕事が取れるということに完全に舞い上がっていたときに、あるプロジェクトで失敗したのです。その失敗が僕にとって大きな転機となりました。とても反省しましたし、「メキシコでの経験だけではダメだ。もっと学びたい」と思い、ヨーロッパを目指すことにしたのです。

かつて旅行で訪れたことがあるオランダとスイスに行ったのですが、オランダは旅行で訪れるにはいい国なのですが、建築の勉強をするには僕にとってはあまり向いていないなと感じました。オランダは、インダストリアルな感じがとても好きなのですが、自然が少ない。

一方、スイスは空港に降り立った瞬間から山が広がり、自然豊かで、建築も自由な雰囲気がありました。そうした環境を見て、「ああ、ここだな」と思い、新たにスイスで学ぶことにしました。スイスは、学生であっても設計事務所で働けるというオープンなところがあって、僕も大学院に行きながら仕事をさせてもらいました。

――メキシコと比較し、スイスでは何か異なる部分や発見などはありましたか?

大澤:一番は時間に対する考え方です。スイスでは、仕事は時間内に終わらせることが重視され、ダラダラ働くことはよしとされません。そのため、時間通りに出社し、定時に仕事を終わらせるのが当たり前。日本の設計事務所は定時というものがないに等しかったので、2000年代初頭の頃は深夜12時まで働くのが当たり前という感じでした。メキシコはそこまで遅いことはありませんでしたが、スイスでは夕方6時にはきっちり切り上げるのです。

また、週のうちに何日働くかを会社と最初に決めるのですが、日本のように役職や雇用形態によってお給料や保証制度が変わることはなく、単に勤務日数によってお給料が異なり、仕事のタスクに対しては勤務日数に関わらず、完璧にこなすことを求められます。

スイスでは最初に入った事務所の他に、その事務所から独立した人が立ち上げた事務所の2カ所で働いていましたが、家や建物の設計だけでなく、ヨットなども手掛けていて、とても面白かったです。

この記事を書いた人

映画配給会社を経て、出版社で企画立ち上げ、海外取材などを数々こなし編集長に就任。現在はベトナム・ハノイを拠点に、日本、韓国を飛び回りフリーランスの編集者として活動中。趣味はアクセサリー製作。インスタではベトナム情報をメインに発信中。

Instagram:@_kaori.soma

Website:https://smartmag.jp/

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