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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

「オレがGMなら星野は監督にしない」高田繁が考える“闘将”星野仙一の功罪

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

「オレがGMなら、星野は監督にしない」

 星野は、1987年から91(平成3)年、そして1996~2001年まで古巣ドラゴンズの監督を務め、翌02~03年は同一リーグである阪神タイガース、そして08年には北京オリンピック日本代表チームの指揮を執り、11~14年は東北楽天ゴールデンイーグルスを率いた。監督としては、リーグ優勝4回、日本一には一度輝いている。

「監督としての能力は持っていたと思いますよ。中日でも、阪神でも、楽天でも優勝を経験したわけだから。運やツキだけでは勝つことはできない。それは監督としてのマネジメントに優れていた証拠ですよ。彼は野球殿堂入りを果たしているけど、間違いなくそれは選手としての成績だけでなく、監督としての実績も加味されたものだから。ただ、何度も言うけど、それは僕のスタイルじゃない」

 後に高田は、北海道日本ハムファイターズ、そして横浜DeNAベイスターズでGM職を務めることになる。そこで、「仮に監督任命の決定権があったなら、星野氏を招聘しますか?」と尋ねる。その答えには何も迷いがない。

「オレがGMだとしたら? あぁ、ないよ」

 一刀両断の即答だった。その理由を問うた。

「さっきも言ったように、監督としての能力はあると思いますよ。でも、オレが目指すべきチームスタイルではない。要は、“勝てばいいんでしょ”じゃないから」

 続けて、「では、かつてのGM時代はどのようなチームスタイルを目指していたのですか?」と問うと、やはり逡巡(しゅんじゅん)することなく高田は言った。

「ファイターズのときも、ベイスターズのときもそうだったけど、僕はメジャースタイルを目指していましたから。つまり、ドラフトもトレードも外国人獲得も含めて、フロント主導でチームを作る。十分な戦力を整えた上で、“あとはよろしくお願いします”と監督に託す。その代わり、フロントは一切、口出ししない。そんなスタイルを、僕は目指していた。でも、このやり方は星野には通用しないよ」

 ドラゴンズ監督時代には就任早々、打線の軸となる主砲として、ロッテオリオンズの落合博満を獲得すべく、リリーフエースの牛島和彦を筆頭に1対4の大型トレードを主導した。タイガース監督時代の02年オフには24選手の大規模な入れ替えを断行し、就任2年目となる翌03年には、見事にリーグ優勝を果たしたこともある。星野は率先してフロントに働きかけ、自らが理想とするチーム作りに動いていた。高田が続ける。

「星野の場合は、自らGMを兼ねてチーム作りを主導するタイプで、それで結果を残してきた。それは認めますよ。ただ、僕がGMならば、星野に頭を下げることはない。仮に星野が監督となったとしても、絶対にGMとぶつかるはずだから」

 どこまでもその口調は決然としており、熱を帯びつつ、それでもどこか冷静さを失ってはいないものだった。

この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

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