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連載Back to 90s

“フェミ男”ブームの象徴・武田真治が振り返る1990年代「アゴも動かなくなった」時代を救った忌野清志郎という“天使”

執筆者: 編集者・ライター/高田秀之

人気番組『めちゃイケ』では「より悪ぶったかもしれない」

往年の“フェミ男”ブームでは時代の頂点に立った武田真治が語る1990年代とは?

――興味はなくはないですよね。

武田:ただ、せっかく吹いた風でどこまで舞い上がれるか、行くところまで行ってみようかなって感じはあったかも。自分に起きていることに対しての興味はあったんでしょうね。人があの頃のことをどれだけ、どういう風に覚えているかわからないですけど、たぶん一瞬、世の中の中心にいたのかもしれないですね、大袈裟にいえば。そういう稀有(けう)な経験でした。どうでもいいと自分に言い聞かせながらも、ちょっとトキメいていたとは思います。

――確かにすごいブームで、田舎の中学生までピタTを着てましたからね。

武田:ですってね。でも、これ全員が似合うもんでもないなとはちょっと思ってましたよ、細いパンツとか。僕が痩せていたのは単純に食べるものがなかったからですからね。実家暮らしでご飯いっぱい食べてそうな人がわざわざピタピタのTシャツを着て、ムチムチのパンツを履いているの見て、「これ違うかもな」とはちょっと思ったりしました(笑)。

――その後、武田さんはTHE BIG BAND!!をデビュー前に脱退し、ソロでアルバムも出し、役者、バラエティと活躍の場を広げました。

武田:憧れのチェッカーズのリーダー・武内享さんのプロデュースでソロデビューしました。当時の芸能界ってまだ、俳優で人気になったら歌手でデビューする風潮があったんですけど、歌が上手いならまだしも、そうじゃないなら歌手の方に失礼だし、そんなのもう流行んないってサックスデビューしたら、それがまた当たって。

で、俳優、舞台、テレビといろいろやってくうちに、もう『めちゃイケ』も始まってたんですけど、あっという間に体を壊して顎関節症になっちゃったんです。ソロっていう“自分の看板で走った3年間”で体がボロボロというか。

――smartの表紙に出てもらったのが97年なんですよ。2ndアルバムが出た頃。インタビューで「もう『anan』の抱かれたい男グランプリにも入らなくなったから、自由にやれる」と言っていて、もうそういう気持ちだったんですね。

武田:その頃はテレビでも悪態ついてたりしましたからね。ガム噛んでテレビ出たり。嫌われて仕事を減らしたかったんでしょうね。自分ではコントロールできないほどの、分刻みのスケジュールへのなんとも幼い抵抗。今思うと我ながらかなり態度が悪かったと思いますし、本当に恥ずかしいんですが、それをキャラとして面白がるめちゃイケグループにも出会っちゃって。

――めちゃイケグループには飾らずにいけた?

武田:より悪ぶったかもしれないですね。一つのキャラにしたというか。みんなそうだったんじゃないかな。僕なんか、素のキャラ3割を8割にするだけだから可愛いもんだったろうけど、岡村(隆史)さんなんかゼロ→100でやってたから。カメラ回ったら急に「誰ですかあなた」みたいな。

――顎関節症が治ったのは清志郎さんとの出会いがきっかけだったと何かで読んだんですが。

武田:出会って治ったというか、本気で治そうと思ったきっかけの人でしたね。それまでは誰も僕の生活や態度を咎(とが)める人がいなくて……いや、誰かに何かを言われても聞く耳を持っていなかったんでしょう。体調も崩してサックスも吹けなくなってきて、どんどん人が離れていって、完全に孤立していました。あの頃の僕はそんな状況に孤独を感じているくせに変にプライドだけは高くて、話し相手が現れても「そのレベルのアドバイスはいらない、俺の立場を分かってない、ぴんとこない」って突っぱねていたような感じでした。

そうこうしているうちに顎もとうとう動かなくなって、体も固まってきて、どんどん痩せて、それがまた「新しい!カッコイイ!」ってレディースの服を着せられて、性格もさらに尖っちゃったり、負のスパイラルから抜け出せなくなっていました。本当にまわりに人がいなくなったときに、たまたま竹中直人さんが、「最近どうしてる?飲みに行こう」って連絡してきてくれたんです。「大好きな先輩の忌野清志郎さんの家に今から行こう」ってなって、そこで初めてお会いしたんです。

この記事を書いた人

流行通信社、ロッキング・オン社をへて、1990年に宝島社入社。Cutie編集長ののち1995年にsmartを創刊。2024年に退社し、現在はフリー。

X:@hideyuki1961

Instagram:@htakada1961

Website:https://smartmag.jp/

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