「うつは心が弱いことじゃない」アイドル“はるっぴ”から俳優・兒玉遥へ――うつ病を経て気づいた家族の愛と、自分を守る方法
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
様々な人の人生を生きられる俳優という仕事を長く続けていきたい
――現在は俳優として様々な作品で注目を集める兒玉さん。今、俳優として芸能界に戻ってきてよかったなと思いますか?
兒玉「今でこそ良かったと思っていますが、走り出した当初は“うわぁ、まだやっぱりうまくできないかも”って落ち込んだりするときもありました。今も本番前は当たり前のように緊張します。でもそれでも続けてきたから、今は楽しいと思えている感じですかね。今度こそ続けたいと思いました」
――俳優として復帰なさった時期が、コロナ禍と重なったんですよね?
兒玉「コロナ禍になって、世の中がペースダウンしたことで、私もいきなり急発進ではなく緩やかなスピードで徐々に感覚を取り戻すことができたので、そこはポジティブに捉えています」
――今、演技をすることの魅力はどこに感じていますか?
兒玉「役を通じてそこで働いていたり生活しているような類似体験ができるじゃないですか。いろんな人の人生を役を通じて見たり感じたりすることができるのが役者冥利に尽きるなと思っています。私自身、興味があることだし、それが楽しいし、飽きないです」
――アイドルだった経験やうつ病という経験が今の自分の糧になっていると感じることはありますか?
兒玉「うつ病を経験したからこそ、あの頃よりも辛いことはもう起こらないと思えているので、ちょっとしたことにもありがたみを感じられるようになりました。今日も仕事に行けているというだけで、“あの頃よりも大進歩じゃん”と思えるので、そういう日々の小さな幸せに気がつけるようになったことは大きな出来事かなと思っています」
――smart読者に、この本からどんなことを感じてほしいですか?
兒玉「題材はちょっと重たいのですが、読むときは気楽に読んでいただけたら嬉しいです。裏テーマとしては、お母さんと娘の愛の物語だと思っているので、みなさんも自分を大切に思ってくれる人の想いみたいなものに気付くと視野が広がって心が軽くなるんじゃないかと思います。でも、自由にいろんな楽しみ方で読んでもらえたら嬉しいです」
――著書の中では、周りの人の強い勧めで病院に行ってうつ病と診断されるくだりがあったのですが、兒玉さん自身が感じていた症状って、多少なりとも誰にでも当てはまることはあると思うんです。なので、どういう症状が出たら病院に行ったほうがいいというタイミングがありましたら、アドバイスをいただきたいです。
兒玉「今の私は、ちょっとした変化でも心療内科に行ってください、って思っています。私自身も軽い症状の段階で気軽に心療内科に行けていたら、自分をここまで追い込むことはなかったんじゃないかと思います。こういう心の症状って、家族や友達に相談しづらいことだと思うので、なんか最近眠れないな、とか次の日のことを考えると不安すぎるとか、体が重いとかしんどいと思ったら、心療内科に足を運んでほしい。目に見える病気じゃないからこそ、専門家の意見がなければ自分だけでは対処できないことがあると思います。と言いつつ、都内では心療内科の予約を取るのがなかなか大変という話も聞いたことがあって、みんなそれぞれに生きづらさを感じているのかな、と思います」
――辛かった体験を一冊にまとめたという今回の体験はこれからの人生にどのような影響を及ぼすと思いますか?
兒玉「タイトルにも“蝶”という言葉を入れているんですけど、弱くて醜い自分から脱皮できたという思いがあったから。なので、ここからは自由に羽ばたきたいなと思っています」
――俳優としての目標は?
兒玉「長くこのお仕事を続けていきたいと思っています。もちろん、続けていく中で波はあるとは思いますけどね。今は映画やテレビドラマ、舞台など、様々な媒体でお仕事をさせていただく機会があって、それがとても楽しい。今後も媒体にこだわらず様々な作品に参加したいです。今時のショートドラマとか縦動画など、新しいことにもチャレンジしていきたいです」
――最後にsmart読者にメッセージをお願いします。
兒玉「自分の好きなことに向かって突き進みましょう! 失敗したらその時に考えればいいんです。とりあえずやってみましょう!」
Profile/兒玉 遥(こだま・はるか)
1996年9月19日生まれ、福岡県出身。2011年7月10日、HKT48の第1期生オーディションに合格。 同グループのメンバーとして活動を開始し、 センターポジションも務める。 2016年には第8回AKB48選抜総選挙で、 自身最高となる第9位に輝く。 2019年6月にHKT48を卒業しエイベックスに所属し 女優としての活動を本格化。 舞台やドラマ・映画に加え、バラエティやYouTubeなど ジャンルを問わず、様々な分野で活躍中!
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
Instagram:@remisatoh
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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