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「うつは心が弱いことじゃない」アイドル“はるっぴ”から俳優・兒玉遥へ――うつ病を経て気づいた家族の愛と、自分を守る方法

執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美

自分に期待しすぎていたことが自分自身を追い詰めていく原因に

HKT48時代に「はるっぴ」の愛称でファンに親しまれた兒玉遥が、アイドル時代にうつ病を患い休業した経験を綴った著書『1割の不死蝶 うつ病を卒業した元アイドルの730日』(KADOKAWA)を刊行した。

――現在は臨床心理カウンセラーなどの資格も持つ兒玉さん。病気を発症した頃は極端な考え方をしていたという言葉もありましたが、今、振り返ってみて自分がうつ病になった原因はなんだと思いますか?

兒玉「自分に期待しすぎていたことかなと思います。当時は理想も高かったですし、今思えば、そんなに期待値を最初から高く設定しないほうがよかったんだろうなと思います。求める理想像が高くて、今の自分とのギャップにすごい苦しんでいたなと思います。誰かと比べるのではなく、自分が昨日より成長できたかどうか、というところにフォーカスできたらよかったのかなと思います」

――当時は(プロデューサーである)秋元康さんの“そのままでいいんだよ”という言葉や、お母様の“よく眠れたね”という言葉の解釈を自分で変えてしまって、自分の心に刃を向けてしまったということがあったそうですが、今は周りの人やその人が発する言葉とどのように向き合っていますか?

兒玉「いいことだけ受け取ってそれ以外のことは気にしない。それができるようになりました。以前は素直に全部スポンジのように受け取っていたのだと思います。それがよさでもあったとは思うんですけど、マイナスな部分を跳ね除ける自己肯定感が全くないまま素直さとかピュアさだけで突き進んでいって勝手に傷ついていたんだと思います」

――アイドル時代からずっと続けているのが反省ノート。反省という言葉の元に、自分自身を傷つけてしまう言葉を綴ってしまっていた時期を経て、現在は日記として書くことを続けているそうですが、気持ちの整理をする上で“書くこと”というのは大切なことだと思いますか?

兒玉「今は、5年連用日記を使っています。書いて頭の中を整理する時間が好きだし、自分には必要だなと思っているので今も続けています」

――smart読者たちは、10代、20代の多感な時期を生きているメンズたちなのですが、スマホ世代の彼らにおすすめの日記の取り入れ方を伝授していただきたいです。

兒玉「ルーズリーフでもいいし、大学ノートでもいいんですけどね。毎日つけなくても自分の心がモヤモヤしているなっていう日だけでもいいから、ノートになんでモヤモヤしているのかとか、何が悩みなのかというのを書き出してみると、だいぶ心が楽になったりするんです。

書き出した上で、その解決策はあるのかとか、自分で変えられることなのか変えられないのかなど、悩みを一つずつ分別していくと自分の心の中を可視化できて、思っていたより大きな問題ではないと気付けたり、自分で変えられないのなら悩んでも仕方がないので考えるのをやめようとか、全部クリアになっていくんです。今って、若い世代の方が、自分の心の内側に目を向ける作業ができなくなっているんじゃないかなって思うんです。

ずっとスマホを見てAIに頼ったりしていることが多いですよね。私が大人になって思うのは、自己理解を深めること。情報が多い社会で自分をいかにバリアして生き抜いていくかということが重要なので、自分がどんな人間で何が好きかみたいなことを知っておくことってとても大切。目先の情報だけで闇雲(やみくも)に進むよりも自分を知っている人間のほうが、長い目で見て迷わず進んでいけると思うんです。スマホでメモも取れる時代だから、わざわざノートに書くのって面倒くさいって思うかもしれないですが、私はそういう時間を大切にしている人のほうが、毎日を健康的に生きれるのではないかと思います。なので、やったことがない方にはぜひ試してみてほしいです」

この記事を書いた人

東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。

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