「うつは心が弱いことじゃない」アイドル“はるっぴ”から俳優・兒玉遥へ――うつ病を経て気づいた家族の愛と、自分を守る方法
執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美
うつ病になったことで家族の想いにも気づくことができた
――著書の中には、兒玉さんのお母様もメッセージを寄せていらっしゃったのが印象的でした。兒玉さんの闘病中から温かく見守っていた家族の存在は大きな支えになったと思いますが、今回本を出すことを伝えたときにお母様はどんな反応だったのでしょうか?
兒玉「お母さんからは、仕事に関して何かを言われたことは一度もありません。子供の頃から、やりたいことをやりなさいというスタンスの人なんです。でも、私の体験を出版できることになるなんて、私もお母さんも思っていなかったので、そのことに対しては“おめでとう”と言ってもらいました」
――今回、書籍という形で今までの体験をまとめたことで、家族の思いなど改めて気がついたことはありましたか?
兒玉「アイドルとして活動していた頃は、母がどのように感じているかというのは全く見えていなかったし、考えることもなかったと思います。お母さんにとって(私は)本当に大切な娘で、“元気にそこにいてくれたらいいんだよ”という思いって、日々生きている中ではなかなか気付けることではないので、そういうお母さんの思いに気付ける視点を心に置いておけるようになったことで、気持ちに余裕ができたかなと思います」
――著書の中では、闘病生活も描かれていますが、ご自身の中で回復に向かっている兆しや手応えを感じたのはいつぐらいの時期だったのでしょうか?
兒玉「特に何かきっかけがあったというわけではないのですが、祖父母のいる(宮崎県)都城に運転免許を取りに行ったことが“人間らしい生活が送れる”ことにつながっていったのかなと思います。祖父母と一緒に暮らしながら免許を取りに行っている間は、人間らしい生活ができているなと感じていて。その前までは自分が社会復帰できるのかということも不安だったんです。だから少しずつ自信を取り戻していく作業の中の第一歩につながったかなと。運転免許って実技以外に講習もあって、社会人になってから初めてくらいの勢いですごく勉強をしたんです。それができたことが自信につながっていったのかなと思いますね」
――アイドル時代は過食嘔吐になってしまった経験を持つ兒玉さんですが、闘病中は、お母様と料理を作るなど、“食べること”が日々の小さな喜びに変化していったように感じます。現在は“食”についてどんな思いがありますか?
兒玉「もともと、私はゼロか100かという極端な人間なんです。なので、ダイエット中は食べちゃダメだし、炭水化物は完全排除みたいな考え方をしていたんです。だからこそ自分を追い込んでしまったんだと思います。今は、食べたいものをしっかり食べても、体重の調整ができるようになりました。あの頃ももう少し柔軟に考えられればよかったなと今は思います。今も食べることは大好きですけど、なんで10代の頃ってあんなに食べたかったんですかね(笑)。時期的に食べ盛りっていうのもあったんだと思いますけどね」
この記事を書いた人
東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。
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