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「セフレが下、恋人が上というわけではない」「セフレという略語の雑さや軽さが…」今泉力哉&山中瑶子が切り込む現代の恋愛観

執筆者: ライター/石野志帆

YOUの「もう好き!」発言に爆笑…スタジオトークが生んだ化学反応 

PrimeVideoで独占配信中の『セフレと恋人の境界線』

──作品に対し、視聴者代表であるスタジオメンバーが忖度なくコメントする、という企画でしたが、ストレートな反応を見て、いかがでしたか?

今泉 どうなるか不安でしたけど、観客の反応が可視化されている状況というのはめちゃくちゃ面白かったですし、スタジオのみなさんが面白くしてくださいましたね。通常、作品に対する批判があったとしても、私自身は全然キツくないので、単純にリアクションがあるというのは、どう転んでも楽しかったです。

山中 最初にお話をいただいたときは、(短編映画を観ながらMCが本音トークを展開する番組構成に)「えーっ」と思ったのですが(笑)、完パケ(完成版)は私自身もだいぶ楽しく見られました。観客の反応について普段はあまり考えないのですが、今回は可視化されていても面白いと思えましたね。

──印象的だったスタジオメンバーのコメントはありましたか?

今泉 YOUさんが第1作を観始めた途端、(金子大地さんを)「もう好き!」って言っていて、反応が速くて最高でしたね(笑)。でも、さっきまで「好き!」と言っていたのに、その彼が自己紹介し始める場面ではもう、「この男は……」と早くも疑い始めていて(笑)。すごく楽しかったです。あと「自分の中でセフレと恋人は、全く別物だ」といった話もされていて、聞きながら「ああ、やっぱり素敵だな!」と思いました。

PrimeVideoで独占配信中の『セフレと恋人の境界線』

山中 登場人物が断罪されるような場面がいくつかあったのですが(笑)、全然嫌な気はしませんでした。みなさんが言うべきことはしっかり言いながらも懐は深い感じがして、頼もしいなと思いましたね。

──今泉監督はスタジオトークに出演もされています。登場人物の“その後”についてスタジオのみなさんと一緒に推測されていましたが、通常そうしたことに明確な答えは持たないものなのでしょうか?

今泉 ラストで「全部解決!はい、終わり!」とはしないように心がけています。そうすることで、「登場人物たちのその後の人生もある」という感じになる気がするんです。終わった後、お客さんも「その後、あの人たちどうなったんだろう」とか「1カ月後には、別れてそうだよね」みたいな話ができたりしますよね。私自身、一つの答えを持っているときもありますが、それが絶対の正解だとは思っていません。むしろ、今回のスタジオメンバーのように、一つの作品を見たときの感情がそれぞれバラバラになるほうが素敵だな、と思っています。「みんなが一つになる」良さもあるけれど、私は観客がバラバラな感情になって帰ってほしい。泣いている人がいれば、怒っている人もいる、みたいな。それこそが面白い作品、魅力的な作品だと思っています。

PrimeVideoで独占配信中の『セフレと恋人の境界線』

山中 私もそう思いますね。そうじゃないと、あまり意味がないというか。「こう思うだろう」と思って作ったものを観た人が、その通りのことしか思わなかったら、何にもなっていないと感じてしまいます。

──最後に、視聴者の方に一言メッセージをお願いします。

今泉 これを見て何を学ぶか、私には分かりません(笑)。ただ、似たような状況の人が観たら「自分だけじゃないんだ」と思うかもしれないし、「もっとヤバい人がいる」と思うかもしれないし、「自分のほうがマシ」と思うかもしれない。恋愛リアリティー番組が好きな人も、そうでない人も、この「面倒くささ」も含めて楽しんでもらえれば嬉しいです。

山中 スタジオメンバーのみなさんのリアクションも一緒に見られる、というのが、この番組のすごく面白いところだと思います。私はもともと人の恋愛にあまり興味がないタイプで、たとえば不倫騒動が起きても「好きにしたらいいじゃん」と思うくらいなのですが、そんな私でもスタジオメンバーが外からいろいろなことを言っているのを含めて、ものすごくいろいろな“人間”を見られて面白かったです。そういった意味でたとえ恋愛に興味がなくても、楽しめる人が多いのではないかと思っています。

(了)

Profile/今泉 力哉(いまいずみ・りきや)
1981年生まれ、福島県出身。名古屋市立大学芸術工学部卒業。2010年、『たまの映画』で商業監督デビュー。主な作品に『愛がなんだ』(2019年)、『街の上で』(2021年)、『ちひろさん』(2023年)、『からかい上手の高木さん』(2024年)、ドラマ『1122 いいふうふ』(2024年)など。
今泉力哉X:@_necoze_

Profile/山中瑶子(やまなか・ようこ)
1997年生まれ、長野県出身。日本大学芸術学部中退。独学で制作した初監督作品『あみこ』がPFFアワード2017に入選。2024年に『ナミビアの砂漠』(主演・河合優実)が第77回カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞。
山中瑶子X:@dwnwakeup

この記事を書いた人

TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。

X:@heartsilvermist

Website:https://smartmag.jp/

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