ももクロ・玉井詩織が語る20年と30歳の今──二作の写真集『たまゆら』『しおどき』に込めた“ありがとう”
執筆者: ライター/石野志帆
「味付けしてもらった方が活きる」“普通な私”が演じた3人の女性
――二作のうち、『しおどき』はドラマ『silent』の脚本家・生方美久さんが担当されたストーリー写真集になっています。
玉井 1冊は皆さんが思い浮かべる一般的な写真集というものを出したかったのですが、もう1冊はより自分らしさを出すために新しい挑戦をしたいと思いました。実は私、昔から“自分の個性”というものがあまりわからないというか、グループの中でも「自分ってすごく普通だな」と思っている節があって。そうであるなら、自分という器にいろんな人からの“味付け”を加えてもらった方が、自分らしさが活きるかなと思ったんです。そこで、打ち合わせで案をいただいた “ストーリー写真集”というものを作ってみようと思いました。
玉井詩織ストーリー写真集「しおどき」
玉井詩織ストーリー写真集「しおどき」
――今回の写真集のために書き下ろされた生方美久さんのストーリーの印象をお聞かせください。
玉井 生方さんの作品は雰囲気がとても柔らかくて、日常の些細な会話のキャッチボールみたいなセリフがとても好きなんです。最初に打ち合わせをさせていただいたときに、生方さんから「どういった自分を見せていきたいですか?」というような、簡単な質問をいただいたんです。その後、できあがったストーリーを読ませていただいたところ「少しの打ち合わせだけで、こんなにも世界を広げてストーリーを描いていただけるんだ!」とすごく驚きました。3つのストーリーのキャラクターは全然違うはずなのに、同じ女性、同世代っていう部分ではそれぞれに共感するポイントもたくさんあって。「自分がこのプロットに応じた表情ができるのか……?」と、少しプレッシャーを感じました(苦笑)。
――ストーリーを読んで、登場する人物と同じ30代として共感する部分も多かったですか?
玉井 同世代として刺さる部分は多かったです!なので、「ストーリー写真集にしておくのがもったいない!」と感じました。すごく贅沢なストーリーを作っていただいたと感じています。
――ストーリー写真集には3人の女性が登場しますが、もし生まれ変われるとしたらどの世界線が良かったですか?
玉井 ジュエリーブランドを自分で立ち上げた女社長ですね(笑)。バリキャリの自立している女性像というのが、すごく自分からかけ離れているキャラクターだと思うので、かっこよくて憧れがあります。
――『しおどき』の撮影はNetflix『First Love』のメインビジュアルを担当した濱田英明さんですが、ディレクションで印象的だったことを教えてください。
玉井 濱田さんは、「いつ撮っているんだろう」と感じてしまうぐらい自然な撮り方をするカメラマンでした。役が乗っているとはいえ、ずっとお芝居をしながら撮っているわけではないので、シチュエーションに合うような話をしながら、パッパッと切り抜いてくださる感じで撮影が進んでいきました。「こういう撮影をしましょう」という部分もあったんですけど、ちょっと時間ができたら「ストーリーとは別に撮らせて」みたいな感じでプライベートっぽく撮ってもらったことがあって、そのカットが使われたものもあります。
玉井詩織ストーリー写真集「しおどき」
――ドラマなどの映像作品と今回のスチール撮影では、演技をするうえで違いはありましたか?
玉井 演じるうえでそんなに大きな違いはないんですが、写真はその瞬間を切り抜くという点で映像とは違います。自分の気持ちや表情のタイミングとカメラマンさんが表情を切り抜くタイミングが重ならないといけないところが、難しかったですね。でも実際に撮っていただいた写真を見たら、自分でも驚くような表情をしていたり「こういう切り取り方があったんだ!」と新鮮な感じがしたりして、すごく素敵に仕上げていただいたと思っています。
この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
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