コンビニなのにレコードがバカ売れ中? 浜町で話題の“レコードコンビニ”が世界中から注目されるワケ
執筆者: ライター・コラムニスト/ミクニシオリ
いまだ下町の空気感が残る街、日本橋・浜町。そこには「夜こそ人が集まる」という珍しいコンビニがあります。店先の看板には「レコードコンビニ」の文字。レコードとコンビニというギャップしかない組み合わせに今、浜町どころか世界中が注目しているようで……?
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ただのコンビニじゃない!音楽と人が交わる奇跡の空間「レコードコンビニ」って?
東京は日本橋・浜町。浜町公園と隅田川にかかる新大橋の近くに、一見すると普通のコンビニ「ヤマザキショップ」があります。しかしその店先には、通常なら雑誌棚が置かれている場所に、なぜかレコードが並んでいるのです。
ヤマザキショップ上総屋、またの名を「レコードコンビニ」。店長を務める進藤さんは、このお店の3代目です。
進藤 祖父が千葉県上総にあった酒蔵を東京に進出させ、浜町で「上総屋酒店」として創業したのが始まりでした。その後、父親の代を経て、1999年にコンビニエンスストア「ヤマザキショップ上総屋店」として改装され、僕が3代目店長に就任しました。
最初は普通のコンビニだったヤマザキショップ上総屋は、進藤さんの「小さな好奇心」から、その後思わぬ方向に進化を遂げていきます。
進藤 実は僕は、10代の頃から趣味でレコードを集める音楽愛好家でした。最初は店を継ぐつもりはなくて、音楽バーでバーテンダーとして働いていました。時々家業も手伝っていたのですが、店内で流れる有線に物足りなさを感じ、自分のレコードをかけるようになりました。店内にレコードの音が流れ始めると、それにつられてレコード好きのお客さんが集まるようになり、自然とレコード談義に花が咲くようになりました。
たしかに、店内でレコードが流れているコンビニなんて聞いたことがありません。店外から見えるイートインコーナーの目隠しとしてレコードジャケットを飾ったところ、ユニークなコンセプトが話題を呼び、レコードジャケットを肴に酒を飲むという、ヤマザキショップ上総屋ならではの角打ちスタイルが確立しました。いつの間にか“レコード好きが集まるコンビニ”になったヤマザキショップ上総屋は、その後も新しい取り組みを続けていきます。
進藤 レコードをかけ始めたことで、商店街の人たちからも注目されるようになりました。そこで、せっかくだから何かしてみようと、地下の在庫置き場を改装して、フリーマーケットを開いたりするようになりました。そこで僕が出品したレコードが予想以上に売れたことがきっかけで、レコードを売ってみたいという欲がジワジワ湧いてきました。
2017年には、レコード販売のために古物商の免許を取得した進藤さんは、レコードコンビニとしての本格的な活動をスタートします。
進藤 店内奥には本格的なDJブースが併設されており、週末にはほぼ毎週DJイベントが開催されています。某有名アーティストのDJイベントで100人以上を集めたこともあって、最近は海外の観光客の方々の来店もかなり増えてきました。店を飛び出しての活動も活発で、銭湯で音楽イベントを行ったり、イベントにレコードショップとして参加したりもしています。
しかも、進藤さんやその仲間たちの「レコード好き」を増やしたいという思いから、地下で定期的にDJ教室も開催しているのだそう。CDJ教室やレコードDJ教室、スクラッチ教室など、1回きりでも気軽に受講できるのがレコードコンビニならではの特徴です。
この記事を書いた人
ファッション誌や週刊誌、WEBメディアなどで幅広く活動。女性向けのインタビュー取材や、等身大なコラム執筆を積極的に行う。いくつになってもキュンとしたい、恋愛ドラマと恋バナ大好き人間。
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